爬虫類のケージレイアウトやアクアリウム、最近ではDIYの材料としても人気の高い流木ですが、使用用途に応じて適切な処理をする必要があるのをご存知ですか?
使用前にしっかりとした処理をしておかないと虫が湧いたり異臭を放ったりと悲惨なことになります。

それはアカン
- アクアリウムや爬虫類ケージに天然流木を使いたい人
- 拾ってきた流木の処理方法が知りたい人
- 流木のアク抜きをしたい人
この記事では、拾ってきた流木を使用する前に行う処理方法について詳しく解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
流木はどこで手に入れる?
アクアリウム用の流木は爬虫類ショップ・熱帯魚ショップで購入することができますが、値段の割に安っぽい物ばかり。
ネットで探すと流木専門の通販ショップもあったのでチェックしてみましたが、レイアウトしたときの見た目を重視する僕を満足させる流木はありませんでした。

ならば、自分で拾いにいく!
ということで、流木をゲットしに山奥へ拾いに行ってきました。

ご覧ください、これが山奥の川で拾ってきた流木です。
流木を求めて東京僻地の某川下流にある河川敷から徐々に上流へと上がっていったのですが、僕が求めるようなアクアリウムや爬虫類のレイアウトにマッチする流木は下流になればなるほど見当たらず。
結果的に河川敷に落ちている流木をキャッキャ言いながら広い集めるような生半可な流木拾いとは次元の違う、まるで修行のような流木拾いになってしまいました。
流木のアク抜きとは?
爬虫類のレイアウトに使用する場合はアク抜きの必要はありませんが、アクアリウムに使用する流木はあらかじめアク抜きするのが一般的です。
流木から出るアクとは?
流木を水に浸けておくと徐々に水が茶色くなってきますが、これは流木の中に含まれるタンニン・フルボ酸・フミン酸等が溶け出すことで変色します。アクアリウム界ではこの変色の原因となる成分を総称して『アク』と呼んでいます。
アクアリウム的には透き通ったクリアな水の方が見た目は綺麗ですが、変色した水は「ブラックウォーター」と呼ばれ、栄養豊富で熱帯魚にとっては非常に住みやすい環境を作ることができるそうです。
しかし今回使用する流木はアクアリウム用に市販されている流木ではなく拾ってきたばかりの天然の流木。どんな成分が蓄積しているかわからないので、念の為しっかりとアク抜きをすることにします。
流木のアク抜き方法
水に浸けて放置する
おそらく最もデメリットがなく自然にアク抜き出来る方法です。
方法はいたって簡単で、流木を水に浸け放置し、水が茶色くなってきたら水を入れ替え再び放置し水が濁らなくなるまでこれを繰り返します。
時間に余裕があるのであればこの方法がオススメなのですが、アクを抜くのにかなりの時間を必要とします。
今回実際に試してみたところ、小さい流木でも完全にアク抜き出来るまで早くて数週間〜1ヶ月はかかりました。さらに大きな流木だと数ヶ月はかかりそうです。
市販のアク抜き剤を使う
熱帯魚ショップ等で販売されている流木専用のアク抜き剤を使用すれば、短期間でアクを抜くことが出来ます。
しかし成分が重曹とほとんど同じため、重曹を使ってアク抜きする人も多いようです。
今回試しに重曹を使ってアク抜きをしてみたのですが、確かにただの水道水に比べると水が濁るのが早い気がします。
ただアク抜き剤の説明に書いてあるような3〜4日でアク抜き出来るというのは難しいと感じました。
お湯に浸ける
発泡スチロール等の断熱容器にお湯(できるだけ高温)を入れ、そこに流木を浸けて放置します。

ホームセンターで購入した発泡スチロールが丈夫ですが、結構高いのでお金をかけたくなければスーパーや魚屋で貰うのがオススメです。

水に比べるとかなりの早さで水が濁るので、毎日お湯を入れ替えてお湯が濁らなくなるまで繰り返します。写真の量の流木だと毎日お湯を入れ替えて約10日間で水が濁らなくなりました。
鍋で煮沸する
流木を煮沸することで、とても短い時間でアク抜きすることができます。
流木が入る大きな鍋が必要になりますが、煮沸することでアク抜きと同時に流木に潜む菌を殺菌することができ衛生面でのメリットも大きいです。
流木の下処理方法
拾ってきた流木をアクアリウムや爬虫類のレイアウトに使用できる状態にするため試行錯誤して辿り着いた、短期間で効率よく下処理する手順をご紹介します。

前述した通り重曹は流木のアク抜きに使用することができますが、ここではアク抜きが目当てではなく流木の表面こびりついた汚れや苔を取れやすくするために使用します。また水に浸けることで流木に潜む虫の駆除も行えます。
大量の流木を処理する必要があったためホームセンターで巨大なタライを購入しました。水抜き栓付きなので流木の他に野菜等を洗うのにも便利そうですが、一般家庭ではまず必要ありません。

川の上流で拾ってきた流木は土や苔等の汚れがひどいので、ブラシで念入りにこすり洗いします。重曹水に浸けておいたため軽くこするだけで綺麗に汚れが取れてくれました。
同時に木が腐っている部分を取り除きます。手で触ってみて柔らかい部分をブラシでこするだけでボロボロと取れていきます。またこの時点で腐敗がひどい物はアクアリウムにも爬虫類のレイアウトにも向いてないので廃棄します。
実際に様々なアク抜き方法を試しましたが、アク抜きの早さと衛生面でのケアも考えるとや鍋での煮沸が最もベストな下処理方法だと判断しました。
また爬虫類のケージで使用する場合はアク抜きの必要はありませんが、こちらも衛生面を考えると一度煮沸した方が安心です。
そこで必要になるのが大きな鍋。もちろん少量の流木のアク抜きであれば小さな鍋でも大丈夫ですが、僕の場合は大量の流木をアク抜きすることになりそうなので流木専用に巨大な鍋を購入しました。

巨大タライ同様、一般家庭ではまず必要ありません。
この巨大鍋で流木を煮沸するわけですが、検証のためすでにお湯と発泡スチロールでアク抜き済みの流木が本当にアク抜き出来ているのかを確認してみようと思います。

鍋に流木を入れ水を注入します。流木が水に浮くのでレンガで押さえつけて煮沸開始。重曹を入れて煮込むとさらに効果的との情報がありますが、今回は重曹なしで煮沸します。

沸騰すると同時に鍋物をするときに出てくるようなアクのような泡が大量に出てきました。これこそアクのような気がしますが、このまま30分ほど煮込み流木を鍋から取り出してお湯を確認してみましょう。

お湯と発泡スチロールで10日間かけてアク抜きしたはずの流木でしたが、煮沸消毒することで大量のアクが出てきました。
濁ったお湯を捨て再び水を入れて30分間煮込むとまた同じくらい茶色く濁りましたが、二度目の煮沸では先ほどまで泡は出てきませんでした。
おそらくさらに煮込めばまだまだ茶色くなると思いますが、これ以上煮込むと流木が耐えれずボロボロになってしまうので1時間(30分煮込み、水を入れ替えてさらに30分煮込む)を限度としました。

煮沸後の流木を鍋から取り出し、丸一日水道水に浸けておきます。沸騰したお湯だとまだまだ濁りそうでしたが、常温の水だとこれ以上は濁りませんでした。
アクアリウムに使用する場合はこの工程後、もう一度水を入れ替えてpHを確認します。生体の環境に適している数値が出れば水槽にレイアウトして使用します。

爬虫類のレイアウトに使用する場合はアク抜き後に流木を乾燥させます。中途半端に湿っているとカビが発生したり腐敗する可能性があるので、芯まで完全に乾燥させる必要があります。
本来は直射日光で天日干しするのが良さそうですが季節や天気に左右されることや、せっかく綺麗になった流木が埃や黄砂などで汚れてしまう可能性があるので、僕の場合は浴室の乾燥機能を使用することにしました。

流木内の水分は下へと降りていくため、流木の下は水はけを良くしておく必要があります。僕の場合メタルラックの棚板を使用しましたが、新聞紙やペットシーツを敷くのも乾燥を促してくれます。

下処理を済ませた流木をケージにレイアウトしてみました。バスキングスポットにはもちろん、小さな生体ならシェルターにもなる真の爬虫類向け流木です。いいですね〜。次に今回の目的である金魚達のアクアリウムに設置してみようと思います。
しかしここでトラブル発生。

何と、愛を込めて下処理した流木が元気に浮いています。
まとめ
市販されているアクアリウム用の流木に比べて天然の流木はかなりのアクが出るため下処理が大変ですが、レイアウトに理想的な流木を手に入れることができました。
しかし流木をわざわざ川に拾いにいって、タライや鍋などの道具を揃えてアク抜きする全行程の労力は凄まじく、ショップで買ってしまった方が断然楽なのは間違いありません。きっとこの大変さが流木の価格高騰に繋がっているのでしょう。
今回は最終的に流木が水槽に沈まないというトラブルが発生したため、次回は浮かない流木を沈める方法を模索して行こうと思います。