600幅の飼育ケージに最適なバスキングライトを比較検証
空き家になっていたギドラ氏の古巣である600幅のケージに新たな生体を迎え入れると決めたものの、まだ何を迎え入れるかは決めていません。しかし候補になっている爬虫類はほぼフトアゴヒゲトカゲと同じ飼育環境で問題はなさそうなので、早速設備を整えていこうと思います。
まず爬虫類に必須とも言えるバスキングスポットをどうやって作るかを考えて行こうと思います。個人的にバスキングスポットはソラーレ UV70が最有力候補なのですが、今回はケージサイズが600幅と言う事もありオーバースペック気味のソラーレは使用せず、バスキングライトと紫外線ランプを組み合わせてバスキングスポットを作ろうと思います。
バスキングライトの選び方
一般的に狭い範囲を集中的に照射する事が出来る「集光タイプ」のライトをバスキングライト(バスキングランプ)と呼びますが、各メーカーから様々な種類のバスキングライトが発売されています。一体どのバスキングライトを選ぶべきなのかを考えてみました。
温度
バスキングライトを設置する一番の目的は生体の体を暖める事なので熱量が重要になってくるのですが、ただ単に熱量が高ければ良いと言う訳ではなくバスキングスポットとして適切な温度を保つ必要があります。
また季節による温度変化も考えられるので、ワット数にバリエーションがあり温度を調整しやすいバスキングライトを選びます。
照度
バスキングライトと併用する紫外線ライトはより強い紫外線の物を選ぶ事になります。しかし紫外線が強ければ強いほど照度が下がりケージ内が暗くなるので、明るさを補うために照度の高いバスキングライトを選びます。
照射範囲
バスキングライトは基本的に全て集光タイプですが、ケージ内に温度勾配をつけやすくするためより狭い範囲を集中的に照射できるバスキングランプを選びます。
温度勾配はなぜ必要?
ケージ内に温度勾配をしっかりとつけることで、生体が自分の過ごしやすい温度の場所へ自由に移動し快適に過ごす事が出来ます。900幅以上のケージであれば比較的温度勾配をつけやすいのですが、600幅以下の狭いケージだと空間が限られてしまいどうしても温度勾配を付けにくくなります。そこで鍵になってくるのが主な熱源であるバスキングランプなのです。
バスキングランプの候補をピックアップ
ビバリウム バスキングスポット(ポゴナクラブ)
以前保温球の比較検証で我が家での採用が決まった『ムーンシャワー』と同じメーカーであるポゴナクラブの商品です。保温球がとても良い商品だったので今回も期待大です。
開封してみると60Wにしてはサイズが大きい印象です。
ストレート バスキングスポットランプ(Petpetzone)
続いての候補は初登場のメーカー「Petpetzone」のバスキングライトです。このメーカーの商品は初めて使用するのですが、他のメーカーに比べるとパッケージがとてもしっかりしています。
開封して驚いたのが梱包の丁寧さ。しっかりとクッションで保護されていて、親切心を感じます。
そして何とこのバスキングライトはUVAを含む光を照射するようです。もちろん別途紫外線ライトは使用しますが、バスキングライトでUVAを補助できるのは生体にとって嬉しいライトと言えます。
サングロー タイトビーム(ジェックス)
最後の候補は爬虫類用品ではお馴染みのジェックスのバスキングライトです。サングローには通常のバスキングライトとは別に、より集光タイプである『タイトビーム』というよライトがあるのでこちらを使います。ちなみにギドラ氏とどんぐり氏は幼少期にこのバスキングライトで育ちました。
温度測定し照射能力を比較
候補に挙ったバスキングライトを実際に照射してみて、熱量や照射範囲を調べてみます。今回は600幅のケージなので各メーカー推奨の60Wで比較します。ただ「サングロー タイトビーム」には60Wという規格がないため50Wで代用しました。
商品名 | ワット数 | メーカー | サイズ | 重さ |
---|---|---|---|---|
ビバリウム バスキングスポット | 60W | ポゴナクラブ | 7.5 × 7.5 × 13 cm | 82g |
ストレートバスキングスポットランプ | 60W | Petpetzone | 6.8 × 6.8 × 11 cm | 55g |
サングロー タイトビーム | 50W | ジェックス | 6.5 × 6.5 × 10 cm | 64g |
左から「ビバリウム バスキングスポット」、「ストレート バスキングスポットランプ」、「サングロー タイトビーム」。並べてみるとよく分かりますが、「ビバリウム バスキングスポット」がかなり大きいのが分かります。
温度測定環境
ケージの左端にバスキングストーンまでの距離が20cmになるように垂直にバスキングライトを設置しました。バスキングストーンは約5cmの高さがあるので、ライトから地面までの距離は25cmになります。
真上から見た図です。バスキングライト点灯して30分放置し、ライト直下をAとして、A(バスキングストーン上)、A〜B(バスキングストーン上)、B(地面)、B〜C(地面)、C(地面)の計5カ所の温度を測定します。
また今回ビバリアの『サーモチェッカーペン』というサーモチェッカーで温度を測定しました。
https://matchthebait.com/thermocheckerpen
測定結果
温度
大きさからして熱量がありそうでしたが、やはり「ビバリウム バスキングスポット」が最も熱量がありました。しかし同じ60Wの「ストレート バスキングスポットランプ」とここまで温度差があるとは思いませんでした。また「サングロー タイトビーム」は50Wだったためかパワー不足を感じます。
照度
「ビバリウム バスキングスポット」と「ストレート バスキングスポットランプ」が良い勝負でしたが、サイズ差を考えると「ストレート バスキングスポットランプ」の方がやや明るい印象を受けました。
照射範囲
バスキングストーンと地面の温度差から「ビバリウム バスキングスポット」と「ストレート バスキングスポットランプ」がバスキングストーンをより集中して照射できているようです。またB地点とB〜C地点の温度差を比較すると落差が大きい「ストレート バスキングスポットランプ」の方が温度勾配をつけやすそうです。
まとめ
それぞれに特徴があり総合的にどれが一番良いという判断は難しいところですが、バスキングスポットの温度を重視するなら「ビバリウム バスキングスポット」、ケージ内の温度勾配の付けやすさを重視するなら「ストレート バスキングスポットランプ」と言った感じで目的に応じて使い分けをするのが良さそうです。
僕の場合は今回600幅のケージには、温度勾配のつけやすさとUVAを照射している点を評価し「ストレート バスキングスポットランプ」を設置しようと思います。