爬虫類の保温対策
フトアゴヒゲトカゲなど寒さを苦手とする爬虫類を飼育する上で必ず立ちはだかるのが真冬の保温問題です。地域によって差はありますが、冬はやはり全国的に気温が下がるため何かしら対策をしなければなりません。そこで今回は冬の保温について考えていこうと思います。
爬虫類を飼育する上での保温には二種類あると僕は考えています。それは空気の保温と床面の保温です。
ケージ内の空気の保温
ケージ内の保温とは、つまりケージ内の空気を温めるということです。爬虫類は変温動物なのでケージ内の空気が冷たいと、体の表面からはもちろん口から冷たい空気を吸い込む事で体の芯から冷えてしまいます。冷たい空気を吸い込んでしまうと体が冷えるばかりではなく、器官を痛めてしまうなど様々なトラブルの元にもなるので保温器具を使用してケージ内の空気を温める必要があります。
ケージ内の空気を温めることができる保温器具
保温球
もっとも定番の保温器具といえばこの保温球です。様々なメーカーからたくさんの種類が販売されていて、商品によって保温力もバラバラなので環境によってベストな保温球を選びましょう。
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我が家で愛用している保温球はポゴナクラブのムーンシャワーです。
暖突
こちらも爬虫類界ではとても人気のあるヒータータイプの保温器具です。天井に設置する事でケージ内全体の空気を温めてくれますが、保温力は高くないため保温球やパネルヒーターとの併用は必須です。
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床面の保温
もう一つの保温は生体との接地面の保温、つまり床面の保温です。爬虫類の多くはお腹が床面に直接触れるので、床面が冷たいと体が冷えるどころかお腹も冷えてしまい消化不良を起こしてしまう恐れもあります。
床面を温めることができる保温器具
パネルヒーター
爬虫類ケージの床面保温といえばパネルヒーターです。とても薄い構造になっておりケージの下に敷いて床を温めてくれます。
ただしパネルヒーターは床を温めることはできてもケージ内全体を温めることはできないため、保温球や暖突と併用することになります。
さてこの床面保温ですが、木製ケージの我が家では必要性を感じないため床面保温はしていません。以前ガラスケージを使用していた時は床面の冷え込みがとても気になっていたのですが…。
ガラスケージと木製ケージの保温力の違い
爬虫類の飼育ケージには主に「ガラスケージ」と「木製ケージ」が使用されます。我が家でも最初は「ガラスケージ」を使用していたのですが、冬場の保温の事を考えて今は全て「木製ケージ」に変更しました。
ところでなぜ「ガラスケージ」より「木製ケージ」の方が保温力があると言われるのでしょう?
僕も『何となく木製の方が保温しやすそう』としか考えずに実際に「木製ケージ」に変えてみると本当に保温しやすくなったのですが、理由まで深く考えたこともありませんでした。
その理由はガラスと木材の『熱伝導率』の違いにあるようです。
熱伝導率とは?
温度差のある物質同士が接触した時に、温度の高い方から低い方へ熱移動がおこります。その熱移動のおこりやすさを係数で表したものを『熱伝導率』と呼びます。
例えばある部屋にガラスと木材を置いておき、同じ温度になってからそれぞれに触れてみると同じ温度にも関わらずガラスの方が冷たく感じます。
これは『熱伝導率』の違いによって生じる現象で、木材よりもガラスの方が『熱伝導率』が高く木材よりも早く体温がガラスに逃げてしまうため冷たく感じるそうです。
熱伝導率(25℃/WIKITECH調べ)
ガラス | 1.05 |
---|---|
木材 | 0.14 |
スタイロフォーム | 0.033 |
鉄 | 80 |
熱伝導率は数字が大きければ大きいほど熱を伝えやすいと言われています。ガラスや木材にも色々と種類があるので一概にはいえませんが、数字を見る限りその差は一目瞭然です。保温材として有名なスタイロフォームは流石の数値を叩き出していました。要するに「熱伝導率が低い=保温性が高い」と言い換えることができるわけですね。
熱伝導率が与える影響
冒頭で爬虫類の保温にはケージ内の保温と床面の保温の二種類があると言いましたが、ガラスと木材の熱伝導率の差が特に影響するのは床面の保温です。
「ガラスケージ」でも保温球や暖突などの保温器具を使用すればケージ内の温度はある程度保つことができますが、生体とガラスの触れてしまうとそこからダイレクトに熱が奪われてしまいます。
そういえばギドラ氏が我が家にやってきた当初はガラスケージで飼育していましたが、床材に使用していたペットシーツの下に潜ってしまい、ガラス面から熱を奪われてギドラ氏が冷んやりしてしまうという問題が発生しました。
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当時はダンボールを敷くことで床面の温度が上がり冷んやり状態から逃れられましたが、今思うとガラスの上に敷いたダンボールの熱伝導率が低かったため保温に成功したとも言えるでしょう。
上記のことからも「ガラスケージ」で飼育する場合、床面(床材とガラスの間)にはパネルヒーター・もしくは熱伝導率が低いものを敷くのが好ましいと言えます。また床面だけではなく、その他のガラス面もスタイロフォームなど熱伝導率の低い物で囲いさらに保温力を向上させると良いでしょう。
木のぬくもりをあなたに
逆に素材自体が熱伝導率の低い「木製ケージ」にはすでにある程度の保温力があるため、空気が逃げる穴を塞いだりする程度でもかなり保温効果に期待できそうです。またケージ内の保温が上手くできていれば接地面(床面)から急激に冷え込むことはないため、我が家のようにパネルヒーターなしでも十分保温できる場合もあります。
下記の記事は木材専門店のウェブサイトに掲載されているのですが、木のぬくもりの秘密がわかりやすく書かれているので参考に載せておきます。
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万が一の故障に備えて保温器具は併用する
我が家では暖突と保温球を併用しているのですが、ただ保温力を高めるために併用しているのではなく、万が一の球切れや故障時に備えて併用しています。保温球だけ設置した状態で、もし真冬の夜中に球が切れてしまったら…。想像するだけでゾッとしますね。そうならないためにも複数の保温器具併用をお薦めします。
まとめ
まさかこのブログに熱伝導率という難しいワードまで出てくるとは思いませんでしたが、おかげで何かがスッキリした気がします。
我が家では木製ケージ+保温球+暖突という環境で冬に備えています。実際に昨年の冬もこれで乗り切ることができたので大丈夫だとは思いますが、やはり怖いのは保温器具の故障。特に暖突は見た目では正常に動作しているか判断できないため、日々の点検もしっかりと行いたいと思います。
保温方法は地域や居住環境によって様々です。本格的な冬になってから慌てないためにも、今のうちに保温対策を考えしっかりと環境作りをして冬に備えましょう。