フトアゴヒゲトカゲ用木製ケージの作り方 | 初心者でも自作できる爬虫類ケージ
フトアゴヒゲトカゲやレオパなどの爬虫類を飼育するときに必ず必要になるのが飼育ケージです。
飼育ケージにはガラスケージやアクリルケージなどいくつかの選択肢がありますが、僕が初めて爬虫類を飼うときに購入したのはフトアゴヒゲトカゲ用のガラスケージでした。
しかし爬虫類を飼育していくなかで、さまざまな理由からガラスケージへの不満がつのり早い段階で木製ケージを自作することにしました。
生体が増えて飼育ケージが必要になるたびに木製ケージを自作し、今後も木製ケージしか使用するつもりはありません。
それくらい木製ケージが気に入ってます!
そこでこの記事では、木製ケージを自作するメリット・デメリットやフトアゴヒゲトカゲ(爬虫類)用木製ケージの作り方について詳しく解説します。
木製ケージのメリットとデメリット
木製ケージにはメリットとデメリットがあるので、自作する前に把握しておくことをおすすめします。
メリット | デメリット |
---|---|
保温力がある 調湿力がある 軽い 自作すれば安い 自作すれば自由度が高い | 経年劣化(変色)しやすい 湿度や温度で伸縮する 湿気・水分に弱い 反りや歪みが生じやすい 自作すると大変 |
やはり木製ケージの最大のメリットは熱伝導率の低さがもたらす優れた保温力と無垢材がもつ調湿効果です。
ただ使用する木材の種類によってはこの恩恵を受けることができない場合もあるので、木材選びには気をつけましょう。
木製ケージの材料はSPF材がおすすめ
木製ケージの材料のなかでとくにベースとなる木材選びは重要なポイントです。
ホームセンターに行くとさまざまな木材がありますが、木製ケージによく使用される木材は下記の3つです。
- SPF材 ※もっともおすすめ!
- 集成材 ※2番目におすすめ!
- 合板 ※おすすめしません!
- 化粧板 など
これまで自宅用やオーダー品などたくさんの木製ケージを製作してきましたが、木製ケージの自作におすすめなのはSPF材です。
SPF材を使用するメリット
理由はいくつかありますが、決め手となる理由は2つあります。
SPF材には接着剤が使われていない
ベニヤ板・OSB・シナランバーコアなどの合板に使われている接着剤には、ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)が含まれています。
人体への影響だとシックハウスなどの症状で有名ですが、犬や猫などのペットにも影響があるといわれています。
爬虫類へどのような影響があるのかはわかりませんが、接着剤を使用している合板の使用は極力避ける(使用量を減らす)のが望ましいと僕は考えているため、ベニヤ板・OSB・シナランバーコアなどの合板をメインの材料にするのはおすすめしません。
SPF材以外にも無垢材は販売されていますが、価格の面で断トツに安いSPF材がおすすめです。
SPF材には優れた調湿効果がある
木材は湿度が高いときに湿気を吸収し乾燥しているときに水分を放出する調湿効果があり、なかでもSPF材などの無垢材の調湿効果はとても優秀です。
ベニヤ板・OSB・シナランバーコアなどの合板にも多少の調湿効果はありますが、無垢材ほどではありません。
この調湿効果は1年をとおして飼育ケージ内の湿度管理の手助けをしてくれます。
SPF材を使用するデメリット
SPF材にはデメリットもありますが、いずれも対策は可能です。
乾燥で収縮する
SPF材の木製ケージは使用していくうちに乾燥して収縮します。
すると木材同士の継ぎ目が広がり1〜2mmの隙間ができるので、飼育ケージ内の保温力に影響することがあります。
その場合は木材同士の継ぎ目に特殊な加工をすることで対策できますが、初心者には難しいかもしれません。
反りが激しい
SPF材はとても柔らかい木材なので、ものによっては反りや歪みが激しい場合があります。
木材の反りは木製ケージの歪みに直結するため、ホームセンターで購入するときはできるかぎり反り・歪みがないものを選別しましょう。
経年劣化(変色)が激しい
SPF材に限らず、木材は使用していくうちに経年劣化して変色します。
とくに無垢材のSPF材はコーティングされていないため変色しやすく、薄肌色から茶褐色へ変色します。
経年劣化を楽しむのも木製ケージの醍醐味だと思うのですが、変色が嫌な人は塗装をおすすめします。
木製ケージの設計図(図面)の作り方
木製ケージに使用する木材が決まったら設計図(図面)を作ります。
ここで重要なのは、できるできないは別にして理想の木製ケージをイメージすることです。
妄想するのは自由だ!
- 見た目をスタイリッシュにしたい
- 通気性の確保と温度調整機能をつけたい
- フロント面のガラス面を出来る限り広くしたい
- 保温機具設置用パーツを完備したい
- ケーブル類をまとめてすっきりさせたい
- 天井は開閉式にしたい
- ケージ専用台もついでに作りたい
理想の木製ケージの完成像がイメージできたら、設計図(図面)に落とし込んでいきます。
僕の場合は手書きでラフを書いてから、Adobeの「イラストレーター」というソフトで設計図(図面)を制作します。
木製ケージの完成図がいまいちイメージできないという人は、これまでに僕が製作してきた「木製ケージの製作例」を参考にしてみてください。
とくにDIY初心者にてっては、設計図(図面)の完成度ですべてが決まるといっても過言ではないので、時間をかけてしっかりと作り込みましょう。
ちなみに設計図(図面)を作る段階でビス打ちする場所も決めておくと組み立て作業がさらに捗ります。
設計図(図面)の作り方については「フトアゴヒゲトカゲ用自作木製ケージの設計図(図面)の作り方」で詳しく解説しています。
木製ケージの自作に必要な道具
木製ケージの自作には道具・工具が必要になります。
しかしこれがけっこう大変で、完璧にそろえようと思うとそこそこの金額になってしまいます。
高い…
そこで最低限必要だと思う道具をリストアップしたので参考にしてください。
- インパクトドライバー
- ドライバー(+-)
- ノコギリ
- サンドペーパー
- 水平器
ホームセンターで木材をカットしてもらえばノコギリは不要ですが、いざというときに必要となることがあるので念のために持っていたほうがいいでしょう。
SPF材を自分でカットするときにおすすめなのが「ソーガイド」です。
これがあれば初心者でも簡単に真っ直ぐに切ることができるため、木製ケージの歪みがかなり軽減できます。
僕はいまだに「ソーガイド」を愛用していて、オーダーメイドで受注した木製ケージもすべてこれでカットしています。
ノコギリと同様に持っておきたいのがインパクトドライバーです。
ドライバーがあれば頑張って作ることはできますが、絶対にあったほうがいいです。
DIY以外でもけっこう出番はあるので持っておいて損はありません。
DIYに使う程度であればコード式のインパクトドライバーが安くておすすめです。
木製ケージの作り方(製作例)
材料・設計図(図面)・道具が揃ったら木製ケージを作っていきましょう。
今回製作例として紹介するのは僕が人生で初めて作ったフトアゴヒゲトカゲ用の木製ケージです。
SPF材はホームセンターでカットしてもらったので、設計図(図面)とおりに組み立てていくだけです。
- SPF材
- OSB合板
- アルミ平板
- 金網
- 曲板
- 補助金具
- L型フック
- 蝶番
- 掛金
- 引き戸ガラス
- ガラスレール
まずはSPF材をサンディングしていきます。
木材を使ったDIYではお決まりの作業であり、僕が一番嫌いな作業でもあります。
必須作業というわけでもありませんが、表面の汚れを落とせるだけではなく仕上がりが断然美しくなります。
サンディングは番手の違う3種類のサンドペーパーで順に磨いています。
- #120番~#240 中目(ちゅうめ)でバリや汚れを落とす
- #280~#400 細目(さいめ)で下地を作る
- #400~#800 極細目(ごくさいめ)で仕上げる
使用するサンドペーパーはなんでもいいですが、僕は3Mの「耐水ペーパー」を愛用しています。
ケージ台のうえで木製ケージを組み立てて行ったほうが効率がよいので、まずはケージ台から作ります。
設計図(図面)をしっかりと作り込んでおけば組み立て作業はとても簡単です。
SPF材は柔らかく割れやすい木材なので「スリムねじ」がおすすめ。
「スリムねじ」を使用してもSPF材が割れてしまいそうな場合は下穴を開けます。
土台となる脚はとても重要なので、しっかりと水平が保てるように慎重に作業を進めます。
また角が90度になっているかもケージ全体の歪みに関わる重要なポイントです。
次に脚同士を横桟で組んでいきます。この時も水平に気をつけながら慎重に。
最後にケージ台の天面のSPF材をビス打ちしてケージ台は完成です。
木製ケージ本体の製作に入ります。
ケージの正面、ガラスの引き戸を取り付ける部分になります。
ここで気をつけたいのはしっかりと直角を出すこと。
ここが歪んでしまうとガラスを設置した時に隙間ができてしまいます。
「スコヤ」などを使って90度になっているかを確認しながら作業しましょう。
ケージ側面を組んでいきます。
通気口の金網は左右をSPF材で、上下はアルミの平板で挟みます。
アルミの平板はインパクトドライバーで穴を開けてからビスでとめます。
ここで図面に不備がある事に気付きました。
内側を見てみるとパーツが足りません…。
この部分は余ったSPF材をカットして埋めることにしました。
ケージ台のうえに床面に使用するOSB合板を設置し、側面と裏面の一番下になるSPF材をビスで固定します。
この段階からケージ台のうえで作業すると効率よく組み立てが可能です。
そして正面のフレームも固定します。
どうでしょう、それらしくなってきました。
次に裏面の残りのSPF材を組んでいきます。
安価なSPF材だと幅にばらつきがあり、想定外の隙間ができてしまいました。
ケージの蓋になる部分です。この上に金網を乗せて木枠で挟む作戦です。
まずは金網が落ちないように支えとなる柱を取り付けます。
この柱を使って暖突や保温球を設置しようと思います。
柱にボルトを通す穴を開けました。
この穴を使って暖突用の金具を設置します。
次に蓋のサイズに合わせて金網をカットします。
切り口が危険なので要注意です。
木枠で金網を挟んでビスでとめていきます。
金網を引っ張りながら打つ必要があるので少しコツがいります。
先ほど開けた穴にボルトを通して金網を固定すると、ゆるまずに綺麗に金網を張れます。
暖突設置用金具を取りつけます。
暖突は直接固定するのではなくスライドして差し込めるようにしました。
最後に蝶番で本体と蓋を固定します。
蓋が大きいので耐久度を重視し大きめの蝶番にしました。
本来なら本体を組む前に開けるべきでしたが忘れてました…。
「30mmのビット」が配線孔にはちょうど良いサイズです。
まずはガラスレールを取り付けます。
今回アルミのレールを使用したので糸のこぎりの金属用の刃で必要サイズにカットします。
カットできたら多用途で使用できる「ウルトラ多用途」で接着します。
ボンドは付けすぎるとはみでるので、気持ち少ないなと思うくらいがちょうどいいです。
5分もすれば固定され、一日置けば乾燥します。
乾燥すると透明になるのでハミ出していてもあまり気になりませんが、カッターで簡単に取り除くことができます。
オーダーメイドしたガラスを取り付けます。
3mmと決して厚くないガラスなので割らないように気をつけながら設置します。
見た目のよさからアルミレールを選びましたが、滑りが悪い。
ガラスレールはホームセンターで買えるプラスチック製のものがおすすめです。
設置場所がリビングなのでフローリングを傷つけないように「床キズ防止テープ」を貼りました。
木製ケージとケージ台のズレ防止(耐震)のために、100均で購入した金具で固定しました。
SPF材の反りが激しくケージが歪んでしまったので、滑り止めのゴムで調整しました。
最後に水平器で傾きを確認して問題なければ完成です。
木製ケージ完成
気に入った!
まとめ
SPF材はとても軽く初心者でも扱いやすいので、初めての木製ケージ自作にはとてもおすすめです。
しかし反りがないものを選ばないと今回のように木製ケージが歪んでしまうので、ホームセンターで購入するときはしっかりと選別しましょう。
この記事を読んで作ろうと思ったけどやっぱり無理そう…。
そんな人のために、木製ケージの製作を承っています。
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