フトアゴヒゲトカゲの脱皮
フトアゴヒゲトカゲだけでなく爬虫類・両生類・節足動物に見られる脱皮は、生体が成長する上で欠かせない行動です。
- 脱皮する頻度は?
- 脱皮するとどうなる?
- 前兆はある?
- 脱皮不全って何?
などなど、フトアゴヒゲトカゲを飼い始めたばかりの方や、これから飼おうと思っている方にとっては想像もできず謎が多いと思います。そこで今回はフトアゴヒゲトカゲの脱皮について書こうと思います。
脱皮とは?
僕が脱皮と聞いてまず最初に思い浮かんだのが蛇の脱皮です。小学生の頃、夏になるとよく道端に落ちている蛇の抜け殻を拾って遊んでいました。財布に入れて置くとお金持ちになると言う噂を信じてよく財布に入れていましたが、一度もお金持ちになった記憶はありません。
あの抜け殻が脱皮した蛇が残した古い皮だったわけですが、そもそも脱皮とは何なのかをwikiさんに聞いてみました。
たいていの動物で、体の表面を構成する組織は次第に更新されて行くものである。多くの場合、それは見掛け上ははっきりと分からない形で少しずつ行なわれる。しかし、動物群によっては体の大部分、あるいはほとんど全ての部分の外皮が一気に剥がれ落ち、更新される。この様な場合に、これを脱皮と呼び、この時脱ぎ落された皮を脱皮殻(だっぴがら)、抜け殻(ぬけがら)などと呼んでいる。脱皮殻は、その動物の外形の全部、あるいは一部を保持し、表面の構造をほぼ写し取ったものになる。 wikipediaより
人間の皮膚のようにゆっくりと皮膚を新しくするのではなく、一気にやってしまう事を脱皮と言うそうです。
脱皮する理由
僕は『体が成長して、皮膚がキツくなったから脱皮する』と思っていたのですが、少し違うみたいです。爬虫類の脱皮について分かりやすく説明している記事を見つけたのでご覧下さい。
この記事によると正常な脱皮は正常な新陳代謝を意味し、脱皮こそ爬虫類の健康のバロメータになります。ベビーのフトアゴヒゲトカゲが頻繁に脱皮するのは、新陳代謝が活発で正常に成長している証なのです。
フトアゴヒゲトカゲの脱皮の様子
それではどんぐり氏の成長過程と共に脱皮の様子を見ていきましょう。
フトアゴヒゲトカゲのベビーは、常にどこかが脱皮していると言っても良いほど頻繁に脱皮をします。
ベビーは脱皮のスピードが早く、いつの間にか全身剥けてしまっている事が多いです。
体が大きくなってくると頭・体・手脚・お腹・尻尾と部分ごとに脱皮するようになります。頭と尻尾だけ何かを被っているように白くなってますが、これが脱皮の前兆です。
また脱皮前になると食欲が減ることがあります。もし急に餌を食べる量が減ったり食いつきが悪くなった場合、もしかするとそれは脱皮の合図かもしれません。
フトアゴヒゲトカゲは脱皮している箇所が痒くかなり不快に感じているようで、バスキングストーンに頭や体を擦り付けたり、手で掻いたり、お腹を床に擦り付けるために匍匐前進したりします。
ベビーの頃は脱皮の皮が薄く、背中がパカッと割れていつの間にか皮が剥がれていましたが成長して皮が分厚くなると簡単には剥がれません。
フトアゴヒゲトカゲは鼻の中も脱皮します。鼻の中の皮が剥けるとそのままの形でニョキっと出てくるのですが、これがフトアゴヒゲトカゲ界で有名な『鼻えのき』です。
アダルトになると脱皮のスピードも遅くなり、脱皮する部分も細分化されていきます。どんぐり氏の場合、何故かいつも口周りから脱皮し始めます。
ケージ内にバスキングストーンや流木があると、脱皮の補助になるので助かります。
皮を剥がされるのは嫌いでは無いようで、むしろ気持ち良さそうな顔をします。
脱皮中のどんぐり氏は水で濡らすと脱皮しやすくなるをわかっているのか、よくケージ内の水入れに入ります。また最近では温浴用の容器を見つけると自分から入り、ふやけた皮を手で剥がそうとします。
アダルトになると背中の脱皮が一番大変そうです。どうやら濡れる〜乾燥を繰り返すと脱皮しやすいようです。
じれったいですが無理して剥がすのは禁物です。温浴で濡れていても無理矢理剥がすのはNGです。
ようやく全ての脱皮が完了しました。アダルトの抜け殻はけっこう分厚くてしっかりしています。
脱皮直後はとても綺麗なので記念写真を撮ってあげましょう。
脱皮中のトラブル
脱皮不全
通常脱皮は何もしなくても自然と皮が向けるのですが、脱皮が下手な子やケージ内が乾燥しすぎていたりすると、上手く脱皮する事が出来ず脱皮不全を起こす可能性があります。特に尻尾や指は脱皮不全になりやすく、最悪の場合は指や尻尾が欠損してしまいます。
脱皮を促進する方法
霧吹き
ケージ内が必要以上に乾燥していると脱皮不全を起こしやすいので、お湯を適度に霧吹きしてあげます。ただしあまりやりすぎると体を冷やしてしまうので要注意です。
温浴
脱皮が下手な個体は部分的に脱皮しきれずに皮が残ってしまうことがあります。特に指や尻尾に皮が残ってしまうことが多く、指一本だけ皮が残ってしまったりすると要注意。放置すると指が壊死する恐れもあります。(我が家のどんぐり氏も脱皮不全で指先の血行が悪くなり爪が飛びました…。)
そんな時は温浴で皮を柔らかくしてから剥いてあげることで脱皮の補助をしてあげます。
濡れた状態でも乾いた状態でも無理に剥がそうとすると皮膚を傷つけたり出血してしまう恐れがあるので注意して下さい。
日光浴
日光に含まれる紫外線UVAは、脱皮を促進する効果があります。紫外線ライトとは比べ物にならないほどのUVAが照射されているのでぜひ日光浴させてあげて下さい。
脱皮促進剤
あまりにも脱皮が上手くいかない場合は脱皮促進材を使用する方法もあります。生体に害のない脱皮促進剤を使用しましょう。
まとめ
僕は基本的に人間の手を借りずに自然と脱皮し終わるのが一番良いと考えていますが、部分的に残ってしまった皮を放置すると炎症を起こしたり脱皮不全になったりする恐れが有るので、必要に応じて手伝うようにしています。
これまで4匹のフトアゴを飼育していて、最も脱皮促進に効果的なのは日光浴だと感じています。季節によってはなかなか難しいと思いますが、できる限り太陽の下での日光浴をさせてあげてください。